コード進行がんばる①【基本のⅠ-Ⅳ-Ⅴ】

何となく楽譜も読めるし、コードネームを見れば構成音もわかる。ディグリーネームもわかる。でも「何処でどうやって使ったらいいかわからん!」という方に向けてコード進行を基本的なものから応用的なものまで段階を経た説明を試みます。どうかお付き合いくださいませ。

基本のⅠ、Ⅳ、Ⅴ

上の記事内で基本的なコード進行をご紹介しました。クラシカルな進行の場合はⅤからⅣには進みませんが、ポップスなどではそうとは限りません。ⅤからⅣに進むことで単調さを回避する効果もあります。

ここでご紹介する「Green Day」のMinorityという曲はAメロ、サビはⅠ、Ⅳ、Ⅴの三種類しか使用しないにもかかわらずコード進行(その他諸々)を工夫することによって曲にメリハリが出ています。

サビのコード進行

コード進行

サビに使われているコード進行は次のとおりです。

Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅳ

サビではこの三種類のコードで作られた進行を4サイクルしています。

音で確認

Green Day -Minority- サビパート

4サイクルを3セット、単純にコードを弾いただけの状態から段々と1セットごとに原曲に近づけています。

ポイント

ここでのポイントはやはりD-S(Ⅴ-Ⅳ)の進行です。ドミナントからサブドミナントに行ってますね。

メロディーライン的にはD-T(Ⅴ-Ⅰ)でも可能ですし、和声などクラシカルな理論体系ではD-Tでなければならないとされていますが、西洋の古典音楽を再現したいわけではないので「クラシカルな理論に縛られる」必要はありません。自由にやりましょう。

自由にやるときは「やりたいことをハッキリさせてブレさせない」のが効果的です。

具体的には繰り返しましょう。(ちょっとずつ変えながら)

後に紹介するAメロのコード進行でもD-S進行が頻繁に使用されています。

繰り返すことによって聴いている人に「こういうスタイルなんだなぁ」と自然に思ってもらえます。

逆に言えば違和感のある場合は繰り返されず突然出てきたもの、スタイルがブレている箇所の可能性があります。

Aメロのコード進行

コード進行

Aメロで使われているコード進行は次のとおりです。

Ⅰ-Ⅴ-Ⅳ-Ⅰ

Ⅰ-Ⅴ-Ⅳ-Ⅴ

Ⅰ-Ⅴ-Ⅳ-Ⅰ

Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ

サビとは対照的に1サイクルごとにコード進行が変わっています。

音で確認

Green Day -Minority- Aパート~サビ

単純にコードを弾いただけのものから原曲にアレンジを近づけています。最後はそのままサビに入っています。

ポイント

ここでのポイントは4つあります

  1. D-S進行を使っている
  2. 1サイクルごとにコード進行が違う
  3. 要所はクラシカルな進行(強進行)で締める
  4. 3回目で変化を付ける

一つずつ解説していきます

1.D-S進行を使っている

サビ部分で解説したとおり、何かやりたいことがある場合はしっかり繰り返すことが大切です。サビに引き続きAメロでもD-S進行を使っているので統一感が出ています。いい感じです。

2.1サイクルごとにコード進行が違う

1サイクルごとにコード進行が違うこと自体は大切ではないのですが、サビが1パターンのコード進行なので相対的に価値が発生します。逆にAメロで動かすことでサビの1パターンのサイクルが活きてきます。サビとAメロ間でコントラストがついて飽きないようになっています。

3.要所はクラシカルな進行(強進行)で締める

注目していただきたいのは2サイクル目の終わりから3サイクル目頭へのⅤ-Ⅰの進行、4サイクル目のⅠ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰの進行です。この進行は和声理論、コード進行理論の基本の動きで強進行とも呼ばれています。カラーがハッキリしすぎているので使い方次第ではダサい印象になってしましますが、このような区切りの箇所で使うと全体が締まって効果的です。

4.3回目で変化を付ける

コード進行というよりは楽式やアレンジの範疇になるのですが、使えるテクニックなので軽くご紹介させてください。

繰り返すことが大切とはこの項の1番目でお伝えしましたが、繰り返しのテクニックの一つとして3回目では違うことをすると勢いが付いてまとまり感が出ます。三三七拍子が良い例です。

123,

123,

1234,

123

3回目の繰り返しでは4拍目を打つことで流れが良くなって全体がまとまっていますね。

これと同じことがAメロで起こっています。この曲の場合はベースが3個目のコード(Ⅳ)のときにボーカルのメロディラインと同じような動きをしています。

ここからが頑張りどころ

ステップ1

まずは基本のⅠ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰの進行を全てのキーで弾けるようにしましょう。もしくは打ち込んでみましょう。(打ち込みの場合コピペはあまり効果がないのでポチポチ一音ずつ入力しましょう。)

これができればたとえコードの順番が変わってもそこまで苦労せず対応できるかと思います。余裕があれば転回形やテトラッドでも練習してみましょう。

ステップ2

次は耳コピしてみましょう。Greenday のMinorityでも良いですし他の曲でも大丈夫です。Ⅰ、Ⅳ、Ⅴがメインで使われている曲であれば大丈夫です。

もしGreenday のMinorityを耳コピする場合はこちらを参考にしてください。

Green Day -Minority- 耳コピ用

ステップ3 (さらに頑張りたい人向け)

Ⅰ、Ⅳ、Ⅴを使って一曲作ってみましょう。コツは全く同じコード進行、小節数、テンポでやってみることです。物足りない方はまずテンポだけ変えてみてください。それでも物足りなければコード進行を工夫してみてください。テンポを変えるだけでも難易度が上がります。

次の音源はコード進行や曲のポイントを踏まえて上で作曲したものになります。

Green Day -Minority- をリファレンスにした曲。BPM=97

曲のポイントをまとめたメモを作ったのでステップ3をやる場合はお役立てくださいませ。

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