【初心者向け】作曲を独学で進めるための5つのポイント
Point 1.いきなり「理論書」に手を出さない
覚えることは最低限に。まずは音楽体験することが大切です。体験無くして理解はありません。
音楽をより深めていくための順番は「聴く」「弾く(歌う)=模倣する」「作る」「言葉にする=音楽理論」です。理論の優先順位は一番最後です。理論は最終段階です。順番に解説していきます。
1.聴く
「聴く」という工程を飛ばすとどうなるか……音楽を聴いたことがない人にいきなり楽器を渡しても弾けないでしょうし、逆に達者に弾ける人でも聴いたことないジャンルの曲は弾けません。
とにかく全ての音楽活動の原点は「聴く」ことからスタートします。今あなた自身が一番大好きな曲をたくさん聴いてください。そしてどんどん好きな曲を増やしていってください。何が良いのか無理に言葉にしようとしなくても大丈夫です。まずは感じ取った良さを何度も味わい尽くしてください。
2.弾く、歌う、コピーする
音楽の「良さ」「楽しさ」を体験したら次は体を動かしてみましょう。これが非常に大切です。
この次のポイントで詳しく解説します。
3.作る
弾けば弾くほど、歌えば歌うほど、真似すれば真似するほど作りやすくなります。
2番の弾く、歌う、コーピーするをたくさんやればやるほど「このパターンが来たら次はこのパターン」という流れが感覚的にわかるようになります。ここでのポイントは
- 曲の良し悪しを自分で判断しない(ただ楽しむ)
- とにかく完成させる
- とにかくたくさん作る(これが特に難しいです)
の3点です。
自分の曲はダメだなんて思わないでください。また同じような曲ができたなんて悩まないでください。作ること自体を目一杯楽しんでください。自分のために作ってください。自分を肯定してくれる人に聴いてもらってください。
この段階では「産まれてたて」です。いきなり雨風野ざらしにしたら即終わりです。まずは安全な環境で育ててあげてください。
作って作って作りまくった先に「あれをやりたい!けどどうしてもやり方がわからない!!」状態、自分を出し切ってどうしても他人の力が必要になって初めて「言葉=理論」の出番です。
4.言葉にする=音楽理論
いままで自分がやってきたこと、感じたことはいったい何だったのか?これを確かめるのが「音楽理論」です。
いままで培ってきた音楽体験があって初めて理論は力を発揮します。ラーメンの美味しさを理解するのに必死に本を読むより一度食べた方が早いです。(理論を極めると論理的に未体験のものを疑似体験できるようになります。)
ただ、理論を学んではいけないということではありません。しかし注意点があります。
理解できないことを無理に理解しようとしないでください。
なんども書きますが、体験していないことを理解するのは難しいです。
繰り返しにはなりますが、聴く、弾く(歌う)、作る、理論の順番です。
Point 2.初心者にとって一番効果的なのが「楽器の練習」
楽器を練習するにあたってオススメなのが「コード楽器」です。ピアノやギターです。作曲を初めてまず悩むことの一つに「コード進行」があります。コード楽器を使って既存曲をたくさん弾く(コピー)することで自然と感覚が身につきます。「あの指の形、置き方のあとはこう動かす」みたいなパターンが理論を勉強せずともわかるようになってきます。
また、音楽でとても大切な要素の一つに「リズム」があります。ちょっと難しい言い方をすれば「周期」です。この「リズム」の感覚をつかむのに一番効果的なのが実際に体を動かすことになります。カラオケで歌ったり、楽器を弾いたり、音ゲーをやるのも効果的です。音の動きと体の動き(心の動き)をつなげることが一番大切です。そしてカラオケで歌ったり、誰かの曲を弾いたり、音ゲー曲をプレイすることは模倣することでもあります。何かを作るときどれだけ模倣をしたかが「基礎力」につながります。たくさん聴いたら今度はたくさんプレイしてください。
ここで注意です。この後Point3.耳コピについてでも解説しますが、この段階で耳コピにチャレンジする際は完コピは目指さなくても大丈夫です。
Point 3.耳コピについて
「効果があるのはわかるけど、取り組みづらい…」なんてお悩みありませんか?
耳コピにもやり方は色々あります。一曲完全再現するいわゆる「完コピ」やコード進行、メロディーなどの一部分のみコーピーしたりと状況によって使い分けていきます。
初心者がいきなり一曲完全再現は至難の技です。
ここで耳コピの難易度を分けてみたいと思います。
Level 1.「メロコピ」
メロディーのみコピーするやり方です。一番聞き取りやすいパートなので初心者の方にはこれがオススメです。そして、慣れてきたらハモリもコピーしてみましょう。
Level 2.「リズム&ベースラインコピ」
さらに慣れてきたらドラムやベースラインをコピーしてみましょう。低音はメロディーよりも聞き取りづらい分難易度が高いです。しかし、ここを聞き取れるようになると作曲力は大幅にアップします。僕の師匠は「ベースラインを制すものは作曲を制す」とまでおっしゃっていました。
ドラムについては、ドラムの構造や「8ビート」や「16ビート」など基本となる型を先に覚えてしまうのがコツです。
Level 3.「コード進行コピ」
なかなか難しいです。ここをクリアするためにはこれまで弾いてきた曲の数が重要になってきます。色々な曲を弾いてコード進行を覚えていくことで解決の糸口が見えてくるでしょう。そして、このレベルのコピーをする頃であれば基本的な音楽理論を理解できる準備は整っています。理論を学ぶことで聞こえない音でも見当がつくようになります。
耳コピではないですが、この段階で試していただきたい作曲の練習方法はコピーしたコード進行を元に同じ小節数でメロディーのみ作り直す「同コード、同小節作曲」です。
Level 4.「アレンジコピ」
この段階ではなっている全ての楽器をコピーしてみましょう。かなり気合が必要ですがその分効果は絶大です。ここでも理論と並行することで進めやすくなります。
Level 5.「音色、Mixコピ」
ここまでできたらプロレベルです。細かな音の立ち上がり方、質感など徹底的にこだわっていきます。
初心者のうちはLevel 2.までできれば十分です!
繰り返しになりますが、Level 3.までは弾いてきた曲の数、Level 4.5は作った曲の数がものをいいます。
Point 4.勉強する理論の選び方
耳コピと並行しながら理論の勉強もちょっとずつ進めてみましょう。
しかし、理論といってもたくさんあります。そして初心者が手を出してはいけないものもあります。
和声や対位法です。
理論の顔をしていますが実際は「先生とのマンツーマン実践スパルタトレーニング用問題集」です。いきなり手を出すとまず挫折しますし、とりあえず進めるだけでは効果が少ないです。(逆に言えば、先生についてみてもらうのであれば絶大な効果を発揮します。)独学の場合はあらかた理論の学習を終えて実力がついた段階でトライする分にはとても良いと思います!
まずは「楽典」がオススメです。理論を理解するためにまずは音名、音程の理解が必須になります。これらの理論がまとまっているのが楽典になります。大型の書店や楽器店においてあります。解りやすさに重点を置いたものから音大受験のための本格的なものまであるので、実際に手にとって確かめてください。そして全部やる必要はありません。クラシックの形式や用語の解説も含まれるのでその辺りは飛ばしても大丈夫です。音程の理解ができればひとまずOKです。
音程を理解した後、コードの勉強をするときはYAMAHA MUSIC FOUNDATIONから出ている新総合音楽講座の5「コード進行方」がオススメです。クラシックよりになってしまいますが譜例が豊富でコンパクトにまとまっていて解りやすいです。
また、音程、和音などの基礎音楽理論は当ブログでもまとめてあるのでぜひご覧ください。
最後に
作曲はすぐにはうまくなりません。長い年月が必要です。それでも速く上達したい人は「ジャンルを絞る」ことが大切です。たとえば歌モノは歌モノでも「ロック」「ヒップホップ」「エレクトロ」など様々です。いろいろ広げれば広げるほど必要になる技術、知識は多くなるのでその分時間がかかります。(時間がかからない人もいます)しかし速い人もゆっくりな人にも共通して言えること、作曲する上で一番大切なことは「長く続けること」だと思っています。作曲にかぎらず物事一般かもしれません。本当に一番大切なことだと思っています。
まずは1年〜3年を目安に継続してみてください。継続のポイントは頑張りすぎないことです。理想は毎日やることですが実際は難しいです。練習の間が開いてしまっても自分を責めずにマイペースで継続してみてください。
今回ご紹介させてもらったポイントというのは挫折しないためのポイントでもあります。
ぜひ今回の記事を参考に楽しい作曲ライフをお送りくださいませ。